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drop

drop

文庫サイズ|56P|24話
染よだかと炭酸ソーダの雨の合同誌
ショートショート×写真×イラスト


  雪の女王にはなれないし、シンデレラにだってきっとなれない。ガラスの靴みたいに吹いた風はあまりに痛くて、僕はポカリスエットでなければ生きていけないから。どうしようもない夜と小説は似ている、感傷なんてチリ紙と共に捨てられる。水質汚染も副流煙もぜんぶ神様のせいにして、エーコのために祈ろう。ポケモンが街を歩くころ、僕はアンパンマンになって殺されたい。雨音が声をかき消したので、傘はもう捨ててしまった。だから遺書のような手紙のようなドロップ缶を君にあげる。潔癖を捨てきれない僕らのためのショートショート集だよ。

炭酸ソーダの雨さん/@tansansodanoame

ヌートリアの墓

ヌートリアの墓

文庫サイズ|80P 
宗教と家族と呪いの物語

 

 早く早く息絶えますようにと願ったけれど父親は死ななかった。その代わり母親が死んだ。冗談みたいな葬儀のあと、シオンは母と二人で住んだアパートの片づけをする。ヨウコとナオミが泊まるからだ。父親との縁を切れない姉のヨウコと、唯一殴られずに育った妹のナオミ、シオンはどちらも家族と思えない。学生時代に暮らした京都に帰り、鴨川沿いを歩いてみるが、ヌートリアはいなかった。上質な毛皮のために輸入・繁殖されたヌートリアは、今では駆除の対象となっている。それを教えてくれた元恋人とも連絡がとれないままだ。三万円ぽっちでは誰も救えない、神だっていない、でもルツさんだけは。溺れるように逃がれながら、シオンは自分だけの神様を探す。

水眠

水眠

文庫サイズ|104P|6話
病める女の子短篇集

 ――水到りて渠成る。いつか溝を穿つためのフラグメントを集めた『雫』以下、待ちくたびれた少女がコインランドリーで不思議な出会いを果たす『雨やどり』、消費される少女の性と抹殺される女の魂を描いた『骨壷とナイフ』、既婚者に弄ばれつつも結婚とは何かと問う『密通』、卒業制作を通して自己を省みる『水葬』、「書く」という行為と真摯に向き合った『猫のいる寝室から』の六篇を収録。

​収録作「密通」の試し読みはこちら

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