ひとりで映画を観たこと

　日記です。

　今日、映画館でテネットを観た。

　じつは映画を映画館でひとり観るのは生まれて初めてだ。「おひとりさま」が苦手なわけではなく（むしろわりと好きだと思う）、正直めんどくさかった。ネットでチケットを取るということもどうやるのかよく分からないので、映画館で直接買った。

　映画館には券売機がいくつかあり、チケットの購入に会話は必要ないらしい。そんなことも知らなかったので、カウンターで買った。「席は青いところからお選びください」とモニターを示され、密を防ぐだめに座席が一席飛ばしになっていることを知った。選んだ席はＨの13、わりと真ん中だった。

　「ポイントカードはお持ちですか」「ありません」の会話があって、それからよく分からないけど1分くらい謎の沈黙があった。なんの間なのかは知らない。カウンターでチケットを買うときはカードの支払いが前提なんだろうか？　作法が分からないので黙っていると、「えっと、どちらでご購入ですか？」というようなことをいわれ、一般とか学生とかそういうことを確認されたらしかった。ふつうで、と答えたら、「一般ですね～」といい直され、ちょっと恥ずかしかった。

　たぶん、かなり世間知らずなのだと思う。今までどうやって映画を観てきたのかというと、詳しい人がまとめてチケットを買ってくれていた。あとからお金はちゃんと払う。世の中の大半の人は詳しいらしいので、わたしはいつもぼんやりしているだけでよかった。

　チケットの取り方が分からないから、ライブなんかもぜんぜん行ったことがない。興味がないわけじゃないが、もう今更、みたいな気になってしまってこれからも行けそうにない。ノリが分からないこと、作法が分からないこと、そのせいで人を白けさせてしまうこと、ぜんぶが恐ろしく感じてしまう。文化には早めに触れておいたほうがいい。

　テネットの内容についてはあまり書かないでおくけど、すごくよかった。

　帰りに車屋さんで滑るようなバックをキメている車が逆行に見えてドキドキした。

　車でしか行ったことのない場所にひとりで自転車に乗って行くのもおもしろかった。

　家の近くに古い銭湯があるのも初めて知った。前を通ると、お湯のにおいがあたたかかった。